犯人は乳酸?
2016/11/09
疲労
疲れの原因物質として、長らく犯人扱いされていたのが「乳酸」です。
「筋肉に乳酸が溜まって」なんてよく耳にするフレーズですよね。
しかしこの乳酸、実は体にはあまり蓄積しません。
乳酸は、運動の際に生成されます。
これが蓄積=乳酸が溜まる=疲労の原因とされていました。
しかし、最近の研究で乳酸は老廃物でなく、運動中も運動後も消費されていることがわかり、
体の中に蓄積することがないと証明されています。
むしろ、疲労を回復する効果も確認されています。
では、真犯人はというと
「FF(ファティーグ・ファクター)」というタンパク質の一種であることがわかっています。
FFの発生プロセスと働きは、以下の通りです。
1.激しい運動などによって大量の酸素を取り込むことで、体内に活性酸素が増える。
2.活性酸素によって細胞は、錆び付いてしまいます。この時にFFが発生する。
3.FFが「疲労」の信号を脳に送り、筋肉の働きを低下させます。
FFが発生し脳へ信号を送ることで
脳は、「チョット疲れてるから休もうよ」とシグナルを出します。
このシグナルは、とても重要!
このシグナルがなければ、身体が壊れてしまいます。
ちなみに研究によれば、FFは肉体的な疲労はもちろん、精神的な疲労によっても増えるそうです。
では、FFは蓄積しっぱなしなのか?
違います。身体は非常に優秀です。
FFの発生と同時に疲労を回復するための物質も生まれます。
それが「FR(ファティーグ・リカバー・ファクター=疲労回復因子)」です。
FRは、FFによって傷ついた細胞を治し、疲労を回復してくれるありがたい存在です。
これによって通常は、疲労(FFの蓄積)がたまっても少し休めば元気になることができます。
FRの生成が少ない人は、FFの影響を受けてしまうため、疲労を感じやすくなります。
年齢を重ねるにつれ、FRを作る力が弱まるといわれています。
ですから疲れにくい体質を作るためには、FRをうまく増やしてあげることが大切です。
では、どうやってFRを増やすのか?そのコツは?
疲労回復物質であるFRは、通常、FFと同時発生します。
ということは、ある程度、運動をしたほうが、FRが増えやすいのです。
とはいえあまり激しい運動では、活性酸素も過剰に発生してしまいますので避けたほうが良いでしょう。
ウォーキングやスロージョギングなど、無理なく続けられそうな有酸素運動がおすすめです。
それをできるだけ毎日、無理のない範囲で行い、徐々にFRの量が増えやすい、疲れにくい体質になっていきます。
また運動をして疲れた後は、ゆっくり体を休ませてあげることも大切です。
FRは運動時だけではなく、リラックス時にも増えます。
自律神経でいうと、副交感神経が優位になった時に増えやすいといわれています。
ですから、自律神経のバランスが崩れていると疲れやすいかもしれません。
運動を薦めたり、休息を薦めたりでなんだか矛盾してますね・・・
つまり、FRを増やすコツは、運動と休息のメリハリです。
そんなメリハリのある環境を作ることが、疲れにくい体質作りに役立つでしょう。
疲れの解消法として多く行われている睡眠、マッサージ、入浴をFFに着目して行った実験があります。
実験といっても被験者数が少ないので有用なデータとは言えませんが・・・
この中で最もFFが減少したのが、
睡眠です。
次にマッサージ、入浴という順です。
入浴はむしろFFが増加してしまいました。適温と適切な時間の入浴が大切です。
長湯は、むしろ体にとってはダメージになってしまします。
マッサージも同じです。適切なチカラ加減と時間が大切です。
痛みを堪えるような強めの刺激や長時間の施術は、身体にとっては、ダメージとなってしまいます。
強めの刺激が効果的だと思われている方が多く見受けられますが、
呼吸を止めなければいけないほどの刺激は強すぎると思われます。
これでは、交感神経が優位に働きリラックスが出来ませんので、FFの減少やFRの産生につながりません。
食事では、鳥の胸肉やマグロやカツオなどの赤身の魚にもFRの増加には有効です。
当院では、適切なチカラ加減によろ体に心地よい施術を心掛けています。
最近疲れが溜まって、身体が重い、だるい・・・
そのような状態を、東洋医学では未病の状態をさします。
当院で身体のケア、未病治療をしてみては、いかがでしょうか?
引用画像:http://healthil.jp/
http://www.alpina-water.co.jp/